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生活感のある勉強をするために

算数や数学が苦手な子、

教室に通う子どもたちの中に数人、よくあるケースだ。
苦手と言っても、学校の成績は中以上、小テストでは満点を取ることもしばしばあるそうだ。
なのに、時々トンチンカンな回答をする。

彼らに共通して感じる問題点は「生活感の無さ」だ

一例として、今日つまづいた問題
中学1年生の文字式、1学期期末テストの準備中だ

問題は「a人にb枚ずつ色紙を配ったら6枚足りなかった。色紙の枚数を文字式で表せ」
数学が苦手な子にとってはやや難しい問題かもしれない。
念のため正解は「ab-6(枚)」

文字式にまだ慣れない彼はこれ以前のもっと基礎的な問題でもやや混乱が見られ、
「じゃ、小学校の時ように数字の問題に置き換えて考えよう」と数問クリアしてきたばかりだ

この問題も同様に彼が数字に置き換えたのは

「30人に5枚ずつ配ったら6枚足りなかった・・・・」

「なるほどこれなら解けるよね、いい問題作ったね」と私

ところが彼は考え込んでいる・・
「習ってないから教えて?」とすぐ言う彼にはもう1年以上「まずは自分で考えて・・・」とじっくり時間をかけてきた。

でも期末テストも近いのでそうのんびりはしてられない

「じゃぁまず、30人に5枚ずつ配るには何枚必要?」


自信なさげに

「・・・6(ろく)・・・?・・・」

『えっ! まさか 30÷5 した?』(口に出さず)

まったく生活感のなさに落胆しながらも平静を装い

「ねえ、教室に30人の生徒がいて、お前が5枚ずつ配っている様子を想像してごらん」

「・・・」

彼はノートに図を書き始めた。
一行に5個の○を数行

○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○
○○○○○

「困ったら図に書いて考えよう」と指導してきた成果だ。

「ほら、もうわかるよね」

「・・・」

「?・・・いいよ、じゃ30人分書いてごらん」

さすがに30人分書く前に彼は

「150枚か、かけ算で良かったんだ」

いつもの調子である。彼は二つの数字を「足す、引く、かける、割る」と試行錯誤していた?
以前はクイズに答えるかのように、私の顔色を見ながら適当に答えていたが、最近は一応その根拠を探すようになった。

これ以前の基礎的な問題で、同様のかけ算の問題を解いていたのに「・・・6枚足りなかった。」
の部分が加わって混乱したことも事実だ。

また彼の記憶力が人並み以上優れていることも一因だと思われる。
彼は社会や理科の暗記が主の単元ではかなりの高得点を取る。
だからか算数や数学でも問題の文章のパターンなどを読み取り、こういう時は「かける」
とか、それを覚えることが勉強だと「誤解」しているのだ。

私から見て彼に足りないもの。
「生活感」「想像力」

彼の「想像力」の無さは私の想像を超えているのだ。



最近、このような話を「愚痴」のように知り合いに話していると、「そう、そう」と共感することも多い。
学校の先生をはじめ、教育に携わる多くの人も感じているようだ。
ただ、今に始まったことではなく、過去もまた今後も続く永遠の課題だという意見もある。
なるほど日本の教育自体が「手法を教える」ことを主としており、近年ますますその色を濃くしているとも感じる。


最近読んだ本

「わかる」ということの意味 新版 (子どもと教育)

の中でも「わかる」ということの意味として、わかりやすく書かれており、おかげで私もかなり頭の整理ができた。
少なくとも、当人である子どもたち自身には何も責任はないのだ。
「彼らなりにわかる」のを時間をかけて待つしかない。というのが結論だ。

彼らの中に「生活感がない」のか「彼らなりの生活感はあっても、勉強と結びついてない」のか私としては結論を出せてないが
成績以上に大切なのは、「生きるための問題解決力」つまり「生きる力」であり、
そのためにも「生活感に結び付いた理解」が必要だ。

現実的、具体的な対応方策が望まれるが、現時点で良案はなく、無力な限りだ。
少なくとも私が親御さんたちにお勧めしたいのは

「小学低学年までにできるだけたくさんお家のお手伝いをさせる」

ことだ。
お手伝いの中にある失敗や成功、泥臭い体験が生活感の源のように思う。






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テーマ : 子育て・教育
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創遊の樹(そうゆうのき)

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名古屋市緑区鹿山
子どもたちの生きる力を育む、教室の様子や、木のおもちゃ、工作キットなどを紹介します。

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